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Vol.11≪ソフトとハードの混合体≫
日本工業新聞/平成3年(1991年)8月22日(木)
街の商店のニーズは商品ではない。「自分の店が存続するかどうか、その不安の解消」こそ、ニーズなのだ、と気が付くと、さっそく行動を開始した。
フジタカはもともと商店とのお付き合いが古い。木工店時代のたばこ店から始まり、自販機の販売や店装を通じて、菓子、薬、酒、本の各小売店、コンビニエンスストアなどなど、がある。ハードの売り込みや、取り付け、メンテナンスに日参するから、店のご主人とはおなじみになる。商売のやり方や、店の外の情報について相談を受けることもある。なんのことはない。気づいてみれば、これまでにも個々に小規模ながらやってきたことである。
これを、会社の組織や機構を改善して、もっと高度に対応できるように組み換えることだ。フジタカには、富士高技建(研)と名のつく店舗建設の関連グループや、フジタカサービスと名のつくサービスグループ、一級建築士事務所、店舗デザインセンター、情報システム開発センターなどソフトウエアグループがある。これらのグループのうち既存のものを強化し、必要なものは新設した。
専門の研究機関として、フジタカ商店経営研究所を設置するほど、保治はこの路線に集中した。
こうなると、商店経営のすべて、出展計画から店舗レイアウト、外装デザイン、ディスプレー、商店陳列、商品ライン、VANやEOS、POSなどの情報システム支援や、経営診断まで相談に応じられることになる。
「研究所を始めとして、すぐ利益に結び付くわけじゃないんですよ。でも、こういう機関を設けると、商店の方から積極的にご相談があります。それに応じ、結果として、商品を求めていただければそれでいいんじゃないですか」
「やはり、ニーズがあるんじゃないかという仮説は事実だったんですね。こういう機構できますと、あちら様からご相談を受けるようになりますね。その応対が主になります。商品が売れるのは従なんです。商店に売れるのはソフトとハードの混合体みたいなものです」
「私ども、大型店の仕事もしています。大型店に押しまくられている小型店の味方をするより大型店の仕事をしたほうが将来展望もありいいのでは、と意見をくださる方もいます。でも、そういう小型店を応援し、商店の繁栄を共に考えるのも、私どものような企業の存在意義じゃないでしょうかね」1つの商店で成功すると他の店から相談があり、やがて商店街全体からの話になる。フジタカの扱い商品も幅が広がる。商店街のカード事業とか、再開発事業とか。他方、全国の地場大手酒類問屋40数社とのリテイルサポートでの提携となる。
フジタカの業態が変わり、社員意識が変わり、フジタカは変身に成功した。昭和62年度の売り上げは、目標額を13億円も超え、230億円となった。関連会社と合わせて320億円に上った。
この年11月1日、「富士高工業株式会社」は「株式会社フジタカ」に改称した。CIによりシンボルマークや社名の字体も制定された。シンボルマークは、経営理念である「お客様や取引先の方々と『喜びを共に』」発展していくイメージをあらわしたのもので、フジタカの頭文字Fをデザインしたものである。<敬称略>

<文・村上 順一郎>

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