今、ゲーセンはゲームをする場所ではない?
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今、ゲーセンはゲームをする場所ではない?
「ここのゲーセン、流行っているなぁ」
「最近、また増えてきましたね」
「そうだなぁ。でも、今やゲームは、家やスマホでやるのではないの?」
「ここで、ゲームなんかしませんよ!」
コロナで大打撃を受けたゲームセンター業界は、この10年間で店舗数が約半数に減った。しかし、いま客足が急速に戻りつつあるという。その牽引役はクレーンゲームで、現状売上の60%以上を占める。
以前のゲーセンは、対戦を中心にビデオゲームとメダル関連で売上の60%~70%だったので、全く逆転したと言える。客層も変化していて、直近1年間のゲームセンターの男女別の利用率はプリントシール機もあり、ほぼ同数となったらしい。中でも、若い女性が増えている。
つまり、今、ゲーセンはゲームをする場所ではなく、クレーンで景品を取りに行く場所なのである。よって集客の要素は、ゲームの面白さではなく、魅力的な景品をいかに提供するかにかかっている。
実は、クレーンゲームの景品は去年、警察庁の通達で、商品(原価)の基準が800円以下から1,000円以下に変更された。引き上げは25年ぶりで、人件費や材料価格の高騰を理由に、業界団体が上限額の引き上げを要望した。それも、中身のぬいぐるみを大きくしたり、フィギュアの作りを精巧にしたりし、より客が欲しがる物を作りたかった、と考える。こうなると「まさに物販業だなぁ」と思う。そして、これを裏付けるのが、クレーンゲームの台頭で出店している新興のゲームセンターの動き。
まず、クレーンゲーム機には細かな設定を変更することができる、らしい。アームのつかむ強さ、そして可動範囲を設定できるのだ。これを一定の取りづらく、設定している店舗も多い。しかし、物販業的な感覚の新興勢は、元々、原価1,000円の景品を3,000円で売れば良いと考えるならば、3,000円以上課金したタイミングで急にアームのつかむ力が強くなって景品が獲得できるようにすれば良いと考えて、その設定にしている。
結果「あの店舗はよく取れるよ」と評判になって、繁盛する。よって、出店が加速するわけである。
クレーンゲームは陳列棚って事か!電気代の高騰から、従来レイアウトの店舗が苦しむ中、クレーンは電気代があまりかからない等、運営経費に対する考え方も物販のそれで、納得がいく。
ゲーセンのアプローチ(業態)を変え、景品の取らせ方(売り方)を変化させることで再生しているプロセスを体験している感覚だ。
更に、ローソンでは「MINICHA!」と言うガチャサイズのクレーンゲームを導入してきているが、コンビニにおいても、その実験に値する切り口なのだと感心する。
つまり、この話はゲーセンに限った事ではない。どんな店舗も、常に進化を考え続けなければ陳腐化し、売り方もニーズに合わせて変化させていかなければ、消費者に見放されるのは当然である。
我々も、同じ。繁盛店を提案しなければ、依頼は来ない。数あるFujitakaの商品群も同じ、ということを頭に叩き込む。
「あれ?この時間でも、子供がいて良いの?」
「ええ、都道府県ごとに異なりますが、京都市は条例改正によって16歳未満のお子さまも保護者同伴であれば 22時まで大丈夫なのです」
「そうなのか。やはり、物販店だな。私の時代のゲーセンは、不良たちの溜まり場だったから!」
「まず、その考え方のアプローチを変えるべきでは?笑」